マラソン選手の身体の経年変化とランニングフォームの最適化(page1)

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目次 ( “” 付きは 当ページ )

(1)まえがき

(2)考察①_股関節外転筋群の硬化と補完動作・変形

(2)-1 股関節外転筋群について

(2)-2 経年変化のメカニズム

(2)-3 下腿骨の湾曲変形

(3)考察②_足関節の内がえし・回内

(3)-1 内がえし・回内について

(3)-2 なぜ内がえし・回内動作をするのか

(4)考察③_toe-out変形

* * * * *

(5)なぜ細かいフォームに着目するのか

(6)注目する選手

(6)-1 エリウド・キプチョゲ(Eliud Kipchoge)選手

(6)-2 鈴木優花選手 大東文化大学

(6)-3 金光由樹選手 東海大学

(7)おわりに

 

(1)まえがき

とうとう、明日!(このブログを書いている日の翌日)東京マラソン2020です!
コロナウイルスの雰囲気を吹き飛ばすほど 盛り上がって欲しいですねぇ。

◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆

私が常々注目している 大迫傑選手のランニング・フォームと足の癖・変形が、最近気になっています。

例えば、昨年 2019年9月に開催されたMGC(Marathon Grand Championship)でのフォームや、昨年出版された彼の著書「走って、悩んで、見つけたこと。」に掲載の画像などです(後ほど説明します)。

MGC (Animated GIF)

また、話は変わって、日本の女子マラソンにおいては、初マラソンで優勝とか、2大会目・3大会目で記録達成・優勝とかありながら、その後 記録が伸びずに引退というケースが多いように感じます。

引退の理由としては、日本におけるマラソンは アマチュアスポーツなので、女性が人生をかけるには収入が少ないために辞めたり、結婚を期に引退される選手が多いのも事実だと思います。

でも 別な理由として、マラソン・トレーニングの積み重ねにより 足が変形したり、蓄積した癖が悪影響をおよぼし タイムが伸び悩み、引退に至ってしまうことも多いと想像します。 長期間の横断的調査ができないので感覚的な意見でしかありませんが。

本投稿では、マラソン選手を見ていて常に感じている 以下の癖や変形の原因と、悪影響を防ぐ最適フォームについての考察を述べます。

● 股関節外転筋群の硬化と補完動作・変形
● 足関節の内がえし・回内
● toe-out 変形

※注記

● 本投稿は、陸上選手の変形やトレーニング方法などを非難するものでは ありません。 陸上選手の記録更新の一助となればと願っています。
● また、本投稿はリンクフリーです。 画像も ご連絡いただければ 使ってもらってかまいません。 ただ、Mailでもなんでもけっこうですので ご連絡ください。
● 私自身 マラソンが好きです。 タイムは ぜんぜん冴えないですが、マラソン愛は けっこうあると思います。 本投稿は そのマラソン界に向けての私のメッセージです。

 

(2)考察①_股関節外転筋群の硬化と補完動作・変形

 

(2)-1 股関節外転筋群について

上図のように、ランニングのような 片足立脚の状態においては(図では左足で立脚)、身体の重心に加わる重量によって、股関節を中心として 遊脚側(図では右足側)の方向へ倒れる力が働くが、立脚側の股関節外転筋群が踏ん張ることにより バランスをとっている。

※股関節外転筋群 … 中殿筋 gluteus medius、小殿筋 gluteus minimus 、大腿筋膜張筋 tensor fasciae latae ・腸脛靭帯 Iliotibial ligament (band)など。

そして、 走ったり 足を踏ん張ったりする頻度が高いスポーツにおいては、練習・トレーニングによって この外転筋群(ラテラル・ライン lateral line )の筋力がアップすると共に、適切なコンディショニングをしないと 伸長性が低下し、いわゆる硬い筋肉となります。 そして 時には炎症や疼痛が発生します。

大迫傑選手も、昨年 アメリカ Huntington Beach で行われた Surf City Half Marathon の前に  IT band injury を負っていたことが記されていますし、著書のQ&Aにも以下のように述べられています。

● 【 Japan’s Suguru Osako Breaks CR With 63:00 To Win Surf City Half-Marathon 】 ← ※クリックしてください

● 著書より
Q : 腸頸靭帯炎になりますか? 克服法・予防法を教えてください。
A : これはもう我慢です。とにかく走りましょう。ちなみに僕は我慢して速いスピードで走ったら良くなりました(笑)。

 

(2)-2 経年変化のメカニズム

ここからは私の推論です。  なお モデルは大袈裟に表現しています。

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前述のように股関節外転筋群が緊張し硬くなると、上図(B)のように股関節が外転して左右に開いてしまい、(B)のままでは走れないので、それを補うために(C)のように体幹部を左右に揺する(進行方向を軸として体幹部を Rolling )か、(D)のように膝関節を内反すると考えます(これは 一般的なO脚の成り立ちと共通する点もあります)。

(また、骨盤をツイストして外転筋群の硬さを補完する走法もありますが、ここでは省きます)

MGC(Animated GIF)

MGCでも、大迫傑選手の Rolling が目立ちます(両肩の挙動を見ると わかりやすいでしょうか)。

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大学1年生の頃は Rolling がそれほど顕著ではありませんでした。

ご自身もフォームについて 次のように述べられています。

【 あの独立自尊の大迫傑が振り返った。MGC41.8km地点、衝撃の場面。】
「筋トレをやった結果、動きがダイナミックになってしまい、一歩一歩のダメージが大きくなってしまった気がします。中村選手、服部選手のふたりは、省エネの走り方だったので、コーチと相談していきたいと思います」

前掲図(D)の動作を続けていると(E)の状態に移行すると考えます。
すなわち 「下腿骨の湾曲変形」と「足関節の内がえし・回内」です。

 

(2)-3 下腿骨の湾曲変形

前掲図(E)のように大迫傑選手選手も下腿骨の湾曲変形があります。

そして、他の選手にも同様の変形が見られます。 

中央大学 五島莉乃選手

下腿骨そのものにストレスが加わったり、下腿の筋に横方向のムダな荷重がかかります。

設楽悠太選手が2018年2月の東京マラソンで日本記録を樹立された際、この下腿骨の疲労骨折を抱えていたことも知られています。↓

マラソン日本記録保持者、設楽悠太が復帰 骨折乗り越え(朝日新聞)

 

(3)考察②_足関節の内がえし・回内

足関節の変位の名称は以下を参照ください。

 

(3)-1 内がえし・回内について

前掲のMGCでの大迫傑選手について 着地時の足関節に着目すると、内がえし状態で着地し、体重が乗っていくにつれて回内肢位となり、その後 踏み切っています。

ニューイヤー駅伝での 旭化成の市田宏選手も 次のように 同様の着地動作をされています。

脛の内側に磁気シールのようなものを貼っておられることから、市田宏選手は 骨性(骨膜)の痛みか 筋の疼痛をかかえておられるのかもしれません。

そして、大迫傑選手の著書にある足の画像です。
前述のように内がえし・回内の着地を繰り返すことにより、経年変化で この回内肢位になると想像します。 (特に左足の変形が大きいでしょうか)

ただ、進行方向ではない この横方向の動作の繰り返しは、本来不必要な運動であり、余分な疲労が蓄積することとなり、 市田宏選手のように、場合によっては 関節痛や骨・筋の炎症などが生じるでしょう。
腕の横方向の振りは許容できても、大事な足の横方向運動は影響を検討した方が良いでしょう。

ちなみに、MGCでの 大迫傑選手のフォームは、前掲図の(C)と(E)をミックスしたものと言えます。

また、余談ですが、一般ランナーも 回内肢位に問題を抱えるケースがあるので、次の asics 社のようなシューズで対処するのも有効です。

(※ブログ用投稿)https://www.asics.com/jp/ja-jp/mk/running/pronation

宝塚市 かみたに接骨院(整骨院)さんの投稿 2020年2月23日日曜日

 

(3)-2 なぜ内がえし・回内動作をするのか

内がえし変形に なり難い生活動作をしていたり、予防するコンディショニングをしない限り、現代人の ほとんどの人に内がえしの癖があります。

解剖学的にも、 母趾を引き上げる筋肉(伸筋)の作用や 靭帯・関節構造の特性により内がえし傾向となります。

ちなみに、足の捻挫負傷も 多くは「内がえし捻挫」であり「外がえし捻挫」は稀です。

そして もうひとつの回内変位ですが、ランナーが 着地時に回内動作をしてしまう原因は、 内がえし肢位で 足底の外側から着地することにあると考えます。

前述 市田宏選手の画像を見るとわかるように、 内がえし肢位で 足底の外側から着地してしまうと、着地部分を中心として(※前額面上) 外側から内側へ回転する運動エネルギーが発生します。

上記で触れましたが、「内がえし変形に なり難い」運動療法を実行すると、この「内がえし・回内」による足の負担を軽減でき、かつ 横方向のムダな動きが無い効率的フォームが実現できます。

 

◆ 追記 … 五味宏生トレーナーのinstagram (2020年5月15日)

陸上トレーナーとして活躍されてます 五味宏生トレーナーのInstagramで、「胴体に対して足が内側に入り過ぎる(前述の体幹Rolling、膝の内反)」と「足の外側着地」について述べられています。

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怪我とランニングフォームの関連を考えようと思った時は前方、もしくは後方から選手を観察することが多くなります。 胴体に対して内側に足が入りすぎていたり、接地した瞬間に骨盤の動揺性が大きかったり、といったエラーが起きていないか、を観察します。 地面へのコンタクトが足の外側部からになること自体は問題ありませんが過剰にそういった動作になりすぎると、その後の母指球方向への荷重移動も含めて腓骨筋腱や内果後方部にある腱等が痛む原因となることがあります。 その現象が起こっている原因は色々な理由が考えられます。 先程いったような脚が内側に入りすぎてしまう結果として外側接地になってしまっているとすれば原因は足部ではなく骨盤や股関節の筋力、となります。 痛い箇所自体を変えることで解決することは実は少なくて全体をみることがとても大切だな、と思います。 ランナーの方に「じゃあランニング中に足を外側からつかないように内からつくように意識すればよいですね」と言われることが多いのですが、それはやめた方がよい、と答えています。 筋力や筋を使うタイミングなどが原因でそういった現象が「起きざるを得ない」ので意識をしてその動作を変えようと思っても無理だからです。 ランニングという複雑な動作中にそれを意識し続けることは不可能です。 だからこそ、それを改善する為により単純なトレーニング、エクササイズが重要になってきます。 ランジ動作や片足スクワット時に外側で荷重する傾向があるのにランニング中だけそれがなくなるわけがありません。 ランニングフォームが自然とよい方向に変わることを目標に、走る以外のエクササイズにもしっかりと取り組んでほしいな、と思います。 #中谷雄飛#早稲田大学 #trackandfield #longdistance #training #今だからこそできることを#怪我をしない身体作り#陸上競技の筋力トレーニング#競技力があがる体づくり#五味宏生 #ベースボールマガジン社 #gomiトレ

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(4)考察③_toe-out変形

toe-out変形とは、下腿が外旋して、爪先が外側を向いている状態です。

次のブログに色々と述べています。

設楽悠太選手の toe-out 変形についても書いていますので、よろしかったら ご参照ください。

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